―アクアリュ−ム基礎講座―
1.生物濾過について
1-6.【嫌気性細菌と好気性細菌】

 硝化細菌の仲間にも好気性細菌と嫌気性細菌と2つのタイプが存在することは理解していただけたと思います。簡単に説明するとバクテリア=細菌は、知られているだけでも膨大な数なのですが、まだよく解っていない方が多いのです。
  なぜなら、人の役に立っている細菌と人に害=病気を起こすものについての研究はかなり進んでいますが、それ以外の細菌については、未知の部分が圧倒的です。
 しかし大雑把に分類すると、細菌は好気と嫌気に分類されます。好気細菌とは、文字どおり酸素のある場所でしか生きられない細菌です。嫌気細菌とは、逆に酸素のある場所では生存ができず、空気に触れると死んでしまう細菌です。水の中でも酸素が溶け込んでいると嫌気細菌は生存できません。そのために嫌気タイプの硝化細菌を水槽内で繁殖させ、硝酸塩を分解させるのは、なかなか簡単な話ではありません。手っ取りばやく換水する方法の方が合理的なように思えます。
 少しでも科学知識のあるアクアリストの皆さんであれば、嫌気バクテリアを好気バクテリアを同じ容器に入れたり(入っていると称する)何百種類ものバクテリアを同一の容器に入れ、しかも液体で常温保存する事など不可能(そんな事が可能ならノ−ベル賞は決まり!)簡単に判断できる事です。
 川や池で水を浄化する事のできるバクテリアも、それは川や池の話であって水槽とはまるで条件が違いすぎます。川や池は底が堆積した土であり、下にガラスが敷いてある訳ではありません。水槽にソイルを敷いて同じ条件を再現するなら、少なくとも20p以上ソイルを敷き詰めなくては完全嫌気の実現は不可能でしょう。だいたい水槽にソイルを20pも敷き詰めるアクアリストの皆さんなんていないと思います。
 この事を判りすく説明すると、プロ野球の選手をサッカ−のワ−ルドカップに代表として出場させるようなもので、野球は野球選手、サッカ−はサッカ−の選手なのです。活躍する場所がまったく違うのです。

1-7.【全ては水質にある!】

アクアリュウムの現実の問題点とは何か?
具体的にはいくつかの現象が上げられます。

1.購入して家の水槽に移してもすぐに死んでしまう。もしくは病気の発生。
2.水槽のガラス面がすぐにコケだらけになる
3.水が濁る、クサイ臭いがする。

 初心者の人達が飼育を始めてすぐにぶつかる問題点は、だいたい上記の3点に集約されると考えられます。
   「1」についてはペ−ハ−ショックも一因と考えられ、この場合は、水合わせを理解してもらえれば解決します。病気が発生しやすいのは、環境の変化、購入したお店の水質より劣化した水質環境になった場合の発症が考えられます。
  ここで重要な事実があります。それは、水槽の魚達は、毎日その水槽の水を体内に取り込む、水を飲んでいる事です。大腸菌や腐敗菌のウヨウヨしている水質の劣化した水を飲めば魚だって生物なのですから調子を崩すのは当然なのです。
  そんな病原菌がどうして水槽に入ってくるのか疑問に思う人もいるでしょう。簡単に証明できます。コップにミネラルウオ−タ−と牛乳を入れて、一日放置すると牛乳は品質劣化、腐ります。ミネラルウオ−タ−は腐りません。牛乳は栄養豊富ですから雑菌や病原菌、カビなどが、空気中から侵入し、その栄養分で繁殖するからです。限られた水量の水槽で魚を飼育するのは、水の富栄養価が進行することになるのです。
 そして、水槽にエア−レ−ションなどで空気を送り込むのは、空気中に漂う雑菌を積極的に水槽に送り込む事と同じです。
 水の富栄養価が、海水でおこると、赤潮の発生原因になります。実際のアクアリュ−ム水槽では、エサの過剰な投与で発生する残飼、魚を過密に飼育した場合の魚の排泄物などが主たる原因であり、生物濾過とは、バクテリアによる栄養分の分解ですから濾過システムが正常に作動していれば、牛乳状態をミネラルウオ−タ−に戻すことになるのです。
 「2」「3」についても、飼育水の富栄養価状態が原因です。魚を飼育する諸問題は、全て水質に起因しているのです。そして水質は、濾過バクテリアの質と濾過器の水を循環させる能力、それに使用する濾材の質と複雑に関係してきます。