<<不定期連載!?>>

シュリンプの話 〜ヒマなら読んでね〜

::目次::
〜それは、一本の電話から始まった〜
2004.10.24up
【実験準備】
【個体差の謎】
【新しい疑問】
【推論と仮説】
【脱皮現象の考察】
【交尾と排卵】
続きU
2004.11.1up
【換水方法と濾過器のメンテナンス】
【水質劣化の原因】
【抱卵数は増えたのか?】
【何をお食べなんですかね?】
【バクテリアの密度と水量の関係】
【ミジンコはどこから来るのか?】
【基本的な事】
続きV
2005.2.25up
【エサについての考察】
《プラナリア除去の方法》
《ゲジ→通称です。正式名不明》
   

〜それは、一本の電話から始まった〜

話は、今から三年前に遡る。
10月に入って太陽の高度も下がり、会社の実験水槽にも直射日光が差し込むようになって、水草の成長実験にもってこいの条件になり、水槽を眺めていると、一本の電話が入った。
スタッフから指名されて電話を取ると、北海道のN氏であった。
彼は、水草中心のアクアリストで時々、電話でお話する人である。
しばらく、世間話をしていたが、不意に、彼が面白い事を言った。

「水草水槽にビ−シュリンプを入れているのだけど、B−4をパラパラとエサ代わりに使用しているビ−シュリンプは、B−4を換水後に入れている水槽のビ−シュリンプと比べると卵の抱卵数が圧倒的に多くなるんですょ。知ってました?」

その時は、『フ〜ン、そんな現象も出るんだ。」程度の聞き流しであった。

その数日後、今度は、島根県のS氏から電話が入る。
S氏は、自作の外部濾過器を作るぐらいのマニアである。
水草水槽にホワイトバンドの美しいビ−シュリンプばかり入れて繁殖させ、色彩の遺伝情報のデ−タ−も収集しているぐらいの熱心なマニアである。

「Fさん、ビ−シュリンプ凄い増えたょ。バンドの色彩は、遺伝が大きく影響していると思うょ。でも、B−4を定期的に投入している水槽のグル−プは、幼体の生存率とメスの個体の抱卵数が決定的に違うょ。どうしてですかね」

こちらが聞きたい質問であった。


最初、この話をスタッフにすると「ホントかねえ〜」とか、「何か他に原因があるんじゃないの?例えばエサとか」などと呑気に言っていた。
「でも、実験する価値はあるかもしれないょ。そんなにお金もかからずに実験できるし、ソイルの耐久テスト水槽なんかも使えるし」 そんならビ−シュリンプの繁殖にB−4がどのような影響を与えるのか、‥・と実験をスタ−トさせる事になる。

【実験準備】
30pキュ−ブ水槽2本、60p水槽4本、90p水槽4本と各分担を決める。
底床材もベアタンク、大磯砂、川砂、ソイル(開発中のK−6)と異なった底床条件と流木、流木にウィロ−モス、南米ウィロ−モス、石にリシアを着生させたもの、など中に入れる水草は、もちろん、水上葉のフロッグピットやウォタ−スプライトの水上葉など、組合せを変更する。
ト−タルで8本の水槽で実験デ−タ−の収集を狙う。
肝腎のビ−シュリンプをショップに購入しに走る。各店の個体に差があるのを発見。
純白のバンドもいれば、赤みがかった個体、レッドシュリンプも販売している。
各店から各20匹購入する。

キュ−ブは、現在流行の水槽の後に引っ掛けるタイプの濾過器。60p水槽は、大磯砂、底面濾過、ベアタンク、上部濾過 、川砂、ソイルは外部濾過器。 水槽セット後にB−4を投入し、ペ−ハ−値を測定。
シュリンプを購入した店は、全て水質値が異なる。点滴水合わせを行い水槽に放す。

【個体差の謎】
数店のショップを回って気付いたが、販売されている個体差の違いは、どこから生じるのか?
恐らく仕入ル−トが異なるのだろう。
数年前まで流通していたビ−シュリンプは、美しい白いバンドの個体がほとんどで、価格もそこそこしていた。現在流通しているビ−シュリンプは、かっての個体とは明らかに異なっている。理由は何か? 販売店で質問しても明確な答えは出てこない。そりゃ〜当然でした。

考えられる事は、たった一つ。採集場所が変わったのか?
今から37年前、初めてコリドラスジュリ−を見た衝撃、こんなに美しいナマズが、本当にいたんだ!現在、流通しているコリドラスジュリ−と体型もボディ−デザインも異なる個体。これについて質問すると、都内の老舗のK店の店長は 「採集場所が昔の採集場所と違うからですょ」と教えてくれた。
ほんまかいな、そんな気持ちで真相を確かめるべく、採集業者のM氏を突撃訪問。

M氏、ナマズ大好き。自称、ナマズバカ一代のお人である。
アマゾンに潜り込んでは、珍種、新種のナマズを見つけてくる。

「昔、コリドラスジュリ−を初めて見た時の感激、現在流通しているコリドラスジュリ−と全然違う個体なんですけど、これは、何が原因なんですかね」

「アァ、あれね。今、ジュリ−の名前で出回っているのは、ほとんど養殖ものなら、コリドラス・トリリネア−トゥス、東南アジアで盛んに養殖してますょ。ほんまモンのジュリ−は、今はほとんど入ってこないと思うょ。アンタが37年前に見たのは、ほんまモンのジュリ−か、ひょつとしたらコリドラス・ハラルドシュルツィなんかかも知れん。あの頃は、そんなに厳密に区分けもしていないし、ほとんど現地採集のワイルドものしか入荷してなかったから。」

そうなんだ。当時の価格でペア(今思うと疑わしいが)と称して一回り小さな個体と2匹で¥3,700もした。夕刊配達のバイト代、一ヵ月分ですぜ。ワイルド個体を繁殖していくうちにジュリ−がトリリネア−トゥスに化け、それが市場で固定化する。確かにこの2種はソックリである。(興味ある人は図鑑で確認して下さい)

それならビ−シュリンプの個体差は、どうしてか?
真相を知るべく、大阪のW社のS氏に電話する。

「Sさん、Sさんとこは、ビ−シュリンプの輸入ストックって置いてあります?」
「うん。沢山いるけど。どうしたの?」
「一度ストックしてあるビ−シュリンプ、見にいってもいいですか?」
「いいょ。いつでもいらっしゃいょ」

S氏は、本当に気のいい人なのである。別に嫌な顔一つせずに調査に協力してくれた。
翌日、新幹線に飛び乗る。一路大阪へ


【新しい疑問】
S氏の案内でビ−シュリンプのストック水槽の前に椅子を置いて観察開始。
水槽と言っても何と!幅が80p、高さ50p、長さは、2メ−トル近い巨大な水槽。
ここにストックしてあるのだ。チョットびっくり。
これにとどまらず多くの種類の魚がストックされていて壮観である。
ビ−シュリンプのストック数だけでも恐らく一万匹を優に越える数である。
正確な数のカウントは、恐らく不能。
サイズも豊富なら色彩も豊富。その中から白いバンドのビ−シュリンプをカウントして小さな容器にすくい上げる。
中には、赤い色彩が出ている個体もある。
しかも、レッドシュリンプと見紛う程の個体も交じっているではいか!
玉石混合、変異個体も1万分の1レベルで発生するのだろうか?
水質を測定するため採取する。
実際にメンテナンスをしているスタッフの話では、確かに発色の色の明らかに異なる個体が入っている事があるとの事。
同じロットであるからして、産地は同一のハズ。
なのに何故、個体発色が異なる現象が起こるのか?その確率は? 謎は解けずに広がっていく。


【推論と仮説】
S氏のお話では、数年前までは、ほとんどバンドの色は、白色だったが、いつのまにか現在のカラ−個体が主流になった。現在は、99.99%程度が、このカラ−。
一度に海外から入荷するのは、一万匹以上のレベルであり、正確な数値である。
以前は、香港マ−ケットからの輸入であった為に香港周辺が原産地の可能性が大。

香港は、現在、中国に返還され以前のような自由貿易都市から中国の近代工業の輸出窓口に変貌しており、周辺地域は、工業特区として開発され生息環境が激変したために採集から養殖に切り替えられた可能性が考えられる。
自然豊かな農業国から近代工業国に転換する過程で自然環境が激変するのが不可避な宿命である事は、日本を見れば理解できる。
池は埋め立てられ、河川には工場排水が流入し、大量の化石燃料の消費により、空気は、汚染され、その結果、窒素酸化物によって水質は、酸性に移行する。
酸性雨について以前リサ−チしたが、京都の山崎、名神高速道路の天王山トンネルから数キロ離れた地点で、雨のペ−ハ−を測定すると気象条件(風向、気温、湿度)と雨の降り方にもよるが、ペ−ハ−4以下の状況が確認できた。

酸性雨により、パンジ−の花に斑点が確認できる。
もしも興味がある人は、酸性雨測定キットが販売されているので、自分の地域の環境測定をしてみると意外な結果に驚くかも知れませんょ。 話を元に戻すと、水性生物は、水質が決定的に影響します。
ビ−シュリンプは、水質に敏感ですから、採れなくなったんでしょうね。
しかし、需要はある。そうなれば、資本の原則で何らかの手法で生産をする。
現地から少なくなった個体を別の場所に移動させ、繁殖が始まったのだと考える事に無理はないと思います。これは推論ですがね。

養殖の場合は、当然、管理が必要ですから、スペ−スは限られます。
自然界に生息していた場合と異なり、個体密度は当然上がります。
今までは、広いスペ−スで一人暮らししていたのが、突然、六畳一間に家族6人の生活みたいなものです。或いは、人口500人の町が突然、人口5,000人に増加するような状態を想像して下さい。
数が増えれば、彼女や彼氏との出会いのチャンスも増えますょね。
その中で、色素細胞の変異→DNAの赤くなる遺伝情報を持っている個体とそれを受け入れる個体が偶然出会った。
そして、日本に輸入され、問屋さん経由で或るお店に入荷し、その系統が繁殖した。
しかし、生産地域も複数存在し、養殖池も幾つもある。それぞれの輸入元によっては、産地が異なるが、小売店では、これからが交じり合う。
そして、偶然、赤と白のカラ−を持った個体が出現した。これが仮説です。


【脱皮現象の考察】
話は実験水槽に戻ります。
水槽をセットしてB−4を投入した当日にエビ入れました。ハイ。
30p5匹、60p20匹、90p20匹です。一匹も落ちませんが、流木や水草の影に隠れたりしています。
エサの《タブス》を入れるとワラワラと出てきます。かなり嗅覚は鋭い事が確認できます。
観察していると実に面白くハマリますね。このエビは。
泳ぐ姿も宇宙船のシャトルみたいでカッコいいです。
各グル−プで毎日エサの代わりにB−4を投入しているグル−プ。タブス→エサと表記とB−4を2日に一度のグル−プ。エサだけで換水(一週間に一度4分の1入れ替え)グル−プに分けて実験。 キュ−ブ水槽は、歯磨きに使う柄のついたコップで換水を毎日2杯実施。
小型のエビ類は、常に補食行動をしているのが観察できる。当然、排泄物の量も多く、水質の変動→劣化→有機物の含有量の増加スピ−ドが早くなる事が考えられる。
その為、急遽B−4を使用しない水槽→60p水槽を用意する。
水合わせ→ペ−ハ−値を同じにして水槽に20匹放す。
2日後水質値を測定。アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、ペ−ハ−→ P/Hを測定する。
B−4を使用していない水槽は、P/H6、2まで低下する。他は7、3。
現状では、抱卵測定よりも個体の生存実験に重点が置かれている。 脱皮については、その瞬間を目撃した。
一匹がウォタ−スプライトの髭根にフラフラとしがみ付く。まったく動作が停止する。
3〜4分経過後、いきなり体をビクッと後にそらした。
次の瞬間、半透明の脱皮された皮がファと浮いた。その間1〜2秒!
脱皮された皮は、下に落下していき他のエビが群がって食べている。
脱皮した個体は、その後しがみ付いたまま、約15分程動かなかった。

恐らく、脱皮前後はソフトシェルの状態なのだろう。 脱皮する生物には他に爬虫類の蛇やトカゲがいます。
蛇の脱皮現象を観察すると脱皮の直前には眼の白濁が観察される。そして岩などの鋭角な部分に口の先端の皮を引っ掛け、バナナの皮を剥く要領で脱皮行動を起こすのです。
脱皮後の皮膚は柔らかく、補食者から狙われやすい為に物陰などに潜み外皮の硬化を待つ 他の蟹なども脱皮するが、脱皮直後の外皮は柔らかく、サンフランシスコのレストランなどでは、脱皮直後の蟹の腕→ハサミを使った料理があって、ソフトシェルクラブとかなんとか言った名前で出していて、これがまたウマイんですょ。
この料理、日本でも食べれます。どうしても食べたい人はJALの通販で売ってます。
ちょっと脱線しましたね。

恐らく脱皮直後の個体は、仲間に食べられやすい状態なんでしょうね。
それで成熟した個体は、外皮が硬くなるまで群れから離れて上に逃げていると考えて
差し支えないと思います。
だったら、水上葉の水草を入れた方が有利です。


【交尾と排卵】
オスとメスが存在する以上必ず交尾が行なわれる。いったいどんな方法でオスは、メスに精子を受け渡しているのか、魚などは、卵をメスが体外に放出し、その卵にオスが精子を受精させる方法→シャケ、アロワナ、イワシなどなど、サンゴもそうですね。
メスの体内に直接交接器官を使って精子を送り込む、グッピ−、プラティなどの胎生魚があるが、実際にこの小型のエビについては、よく分からない。
観察を続けるうちに、或る条件が整うと水槽内を乱舞と表現するのか、多数が中層域を泳ぎ出す現象が発生するのに気付いた。
体の一回り小さなエビに体の大きなエビが多い被さり、数秒すると離れて行く。
この体の小さなエビを隔離して観察すると2〜3日後に卵を尻尾に付けている。
ひょっとして、多足類→クモなんかの事です。と同じで、メスの体内に精子の詰まったカプセルを埋め込むのかも知れない。
そういえばエビもいっぱい足があるがな〜とスタッフのY氏のご意見。ハイハイ。 産卵は、尻尾の先端部分に小さな穴があってそこから一粒、一粒排出して尻尾のビラビラを器用に動かして前に移動させている。
この卵は粘着性があって卵と卵はくっいているようだ。
生まれたての卵は黄色がかかった色をしている。
クモなんかだと、他のオスが近寄って前のオスの精子のカプセルを取り出して、自分の精子のカプセルを埋め込む奴もいるんですょ。
このエビもそんな事してるのだろうか?

‥‥つづく。


続きU<2004.11.01>

ビ−シュリンプ(レッドも含めて)の飼育方法については、実にさまざまなご意見がありまして、アメリカザリガニの自称繁殖プロのお方は、「こんなの、簡単スョ。ザリガニと同じ要領で飼育すればいいんでしょ」オッ!言ってくれるじゃねえ〜か。
この人、約10日で試験的に差し上げた20匹、絶滅させました。
確かに卵の排卵システムと抱卵の状況は、外観での一致点もあるのですが、やはり決定的に異なります。ザリガニのメスは、身に危険を感じると尻尾の下の卵を放します。
ビ−シュリンプは、保護したままです。網で補足しても放しません。
それに、外観からザリガニは雌雄の区別が可能ですが、ビ−シュリンプは、そんな簡単に判別できません。
水槽での行動もまったく違った動きなのです。成長スピ−ドも脱皮行動も異なります。
ザリガニ飼育ほど簡単ではないんですょ。
恐らく代謝機能が違うんでしょうね。

【換水方法と濾過器のメンテナンス】
キュ−ブ水槽は、近くに洗面器を持っていき、柄の付いた歯磨き用のコップで換水します。
一回に2〜3杯して給水しておきます。
60pと90p水槽は、バケツに約6〜7分目水を抜きます。そして新しい水温がほぼ同じ水温の水を同程度入れます。そしてもう一度同じ要領で水を抜いて新しい水を入れて完了です。
キュ−ブは、ほぼ毎日。60と90は、5日から7日に一度換水します。
一度に三分の一とか四分の一の水を抜いて一気に新しい水を入れるよりこの方法だと生物に対して負担が軽くなるのですょ。
水合わせを思い出してね。少しづつ水に馴染ませるでしょ。時間差は大切ですょ。

この小さなエビは、外部濾過器や上部濾過器の吸い込み口に吸い込まれる危険があります。
外部濾過器では、吸い込まれると生存は絶望的です。上部濾過器の場合は、マットに引っ掛かり救出できますが、取りあえず危険防止の為に吸い込み口にはスポンジフィルタ−を付けます。
そしてこのスポンジフィルタ−のメンテナンス方法なんですが、最低でも十日に一度は電源を切ったうえでスポンジを外してお湯(約40度前後)で流しながら洗浄してくださいね。おにぎりを握る要領で洗ってください。
このスポンジフィルタ−がバクテリアフィルムの形成により、水の通過スピ−ドが悪くなります。
濾過とは、濾過器を水槽の水が何回循環したかによって確実に水質に影響を与えます。

確実な決まりはありませんが、一般的→私達の実験水槽では、一時間当たり4〜5回は、確実に循環しています。濾過の循環スピ−ドは、内部の濾材の質と量→密度にも影響されます。スポンジマットの他にリング形状の濾材、通水性能の高い濾材などの組合せによって、、アンモニアの分解スビ−ドは異なります。
循環スピ−ドが同じでも内部の濾材の質と量ではまったく異なった結果になります。
後半の話しにリンクするので、ここで生物濾過について少し詳しく説明します。

【水質劣化の原因】
水槽に魚でもエビでも入れた瞬間から水質は変動を始めます。
一般的に生物の排泄物や食べ残しのエサからアンモニアは、発生すると理解している人が多いのですが、厳密にはアンモニア発生までの間に2種類のバクテリアが介在すると考えられています。
蛋白質分解菌と脱アミノ菌です。
魚の場合は、体表を保護するために粘膜から粘液(あのヌルヌルしたものです)を分泌しています。
鯉やウナギなどはスベルのはそのためなのですが、あの粘液の正体はタウリンと呼ばれる物質で、蛋白質なのです。栄養ドリンクにも入っていますょ。
何で魚は、こんな物質を体内から分泌させ体表に付けているのか?
簡単に言えばバリヤ−なんですね。
この物質を体にまとう事で白点病原虫や水中に存在するキロドネラのような有害なバクテリアから身を守っているのです。魚の自衛手段なのです。これは、水中で剥離し溶出するので体内から少しづつ分泌しますから、当然、水質劣化の原因になります。

どうして水質が劣化するかと考えれば、要は栄養分のある水(有機物の多く含まれる)に変化しつづける訳ですから細菌も当然繁殖します。
簡単に考えれば、ミネラルウォタ−と牛乳を各コップ1杯に入れます。
中の温度を25度に保ち、24時間放置します。
牛乳は、変質し腐敗し味が変化します。
ミネラルウォ−タ−は、酸化していますが、味の変化で感じられる程、劣化していません。
この違いは、含まれている栄養分の質と量に関係する事が理解出来ますょね。
そしてもう一つ実験すれば、コップに牛乳をいっぱいに入れたものに素早くキッチンで使用するフィルムを貼りつけ空気を遮断します。
もう一つは八分目まで入れて放置します。
空気に触れていない方の牛乳は劣化スピ−ドが遅れます。
この事は、空気中に細菌やカビの胞子が常に浮遊している事を証明します。
電気掃除機は強力なモ−タ−で空気を吸い込みチリ、ホコリを取り除きます。
空気を水槽に送り込む、投げ込み式、エア−リフタ−方式の濾過器では、空気中のホコリ、チリ、細菌、カビの胞子を強制的に水槽に送り込む事になります。
従って水の劣化速度は加速度的に早くなるのです。
だから、実験水槽には、エア−リフタ−方式の濾過は最初から除外したのです。
ビ−シュリンプは、常に補食行動をしている生物である事は、以前に述べました。
言い換えれば、ミネラルウオ−タ−を栄養豊富な牛乳のような状態に常に変化させている生物と考えて差し支えないと思います。
だから、濾過システムに力点を置かないと上手く飼育出来ないのです。

【抱卵数は増えたのか?】
観察実験をスタ−トさせて二週間、かなり大きくなってきました。
相も変らず常に補食行動をしています。
抱卵したメスの個体、見つけましたょ。幾つかの水槽で確認しました。
しかし、通常の、普通の、平均的な、と表現できる抱卵数が分からない。
軸線が不安定なんですな。
この頃、鰊(ニシン→数の子のお母さん)の個体数が減少すると平均サイズまで成長していないサイズのメスまでもが抱卵するとの情報をキャッチ。
種の生存が危うくなると子孫を残すために成熟していない個体までもが抱卵して子孫を残す為に産卵すると言うのです。これは、個体の成熟、未成熟の話しで、抱卵数が増えるかどうかは別の問題です。

社外スタッフを総動員して情報を収集。研究者にインタビュ−。
「確かに環境に左右される生物は存在しますね。個体数が減少したり増加して豊漁と不漁を定期的に繰り返す魚もそうですが、これは食物連鎖にも起因する問題です。
イワシなどは、プランクトン発生量に関係しますから、海流の変化には敏感です。
暖流と寒流がぶつかる場所は、プランクトンが大量に発生しますから、エサが豊富です。
そうなるとその場所に魚は集まりますから好漁場になるわけです。
ここでも食物連鎖が発生し、プランクトンを補食するカタクチイワシを補食するカジキやマグロなどの大型魚類も集まりますから。
しかし、確かに種の存亡になると、成熟していない個体の抱卵現象はニシン以外にも確認されていますょ。抱卵数が増加する場合は、エサになるものが増加している環境であれば、考えられますね」
‥そうなんだ。やはり環境によって抱卵数が増減する可能性は存在したのだ。

【何をお食べなんですかね?】
実験水槽を観察しているとさまざまな事が見えてきます。
会社に来るなり実験水槽の前にイスを置いて座る。トイレ以外は、席を立たないで食事もコンビニのオニギリにして、これが夜まで続く。
家に帰ると食事と風呂を30分以内に終了させ、睡魔が来るまで家の実験水槽の前から動かない。
家族もスタッフも妙に親切になりましたね。
「何か悩みでもあるのか」とか「心配事があるなら相談に乗るけど」とか「一度、カウンセリングを受けてみたら」とか言い出しました。
そりゃ〜不気味だったと思います。水槽をジッ−と見ながら時々、「オォ−」とか「ケッケケ〜そうだったのか!」とか独り言を言い出すと、最後は皆さん近寄らなくなりましたね。

でも、その結果、色々な事実が判明しました。
一般的にカニやエビなどは、『腐敗食生物』と呼ばれており、死んだ魚や貝、或いは自分の仲間なども死んだものは食べるそうです。自然界の掃除軍団なんですね。
それでは、自ら他の生物に対する補食行動は起こさないのか、と言えば、種類によってどうも違うようです。
コケ→植物質のものも食べます。それは、ほうれん草やチンゲン菜なんぞ食べてますから証明できます。
他にミジンコも食べます。何度も水槽の中で追っ掛けて補食行動をしているのを確認しています。
かなり成長した個体は、確実に他の甲殻類を補食します。 
『タブス』の他に『スパイラルフ−ド』も食べます。
実験でさまざまな食材を与えましたが、味噌汁のダシを取った後のコンブ、細く切って与えると群がります。
ビ−シュリンプも仲間の死骸は食べますが、それは個体密度に関連してきます。
水槽は、一定水量しか入りませんから、当然、繁殖すればするほどエサは不足します。
当然のように脱皮直後の個体は狙われます。

【バクテリアの密度と水量の関係】
90p水槽で個体数が約400匹に到達すると危険な兆候が観察できます。
定量のエサを与えても稚エビの増加数が低下し始めます。
恐らく成熟した個体に補食されていると考えられます。
幾つかの水槽から稚エビを採取し、胃の内容物を顕微鏡で観察しました。
レッドシュリンプの場合は、既に発色していますから簡単に捕獲できます。
ここでは、詳しい内容は、出しませんが、稚エビの胃の中から出てきたものは動物性のプランクトンと植物繊維が確認できます。(今年のアクアライフのエビ特集の記事に顕微鏡写真は掲載しています。)
動物性プランクトンは、数種類確認できます。これは、B−4をエサ代わりに与えているグル−プから検出しています。
恐らく、バクテリアの増殖→後生生物群の発生と連鎖→ミジンコと繋がっていると考えられます。

【ミジンコはどこから来るのか?】
B−4を投入している水槽は、ミジンコが発生する→ホ−ムペ−ジで実験していた人がいましたね。
挙げ句B−4には、ミジンコのタマゴが入っている?なんて書いてましたがそれは間違いです。
ミジンコのタマゴって風に乗って生息地域を拡大するって知ってました?
ミジンコは、大別して「ケンミジンコ」と「タマミジンコ」に大別されます。
甲殻類→エビと同じ仲間です。
タマミジンコなどは、池や水流のゆっくりした川の岸などでよく見かけます。
水質→溶存酸素濃度が低下したり、水質が劣化すると赤く変色します。
こうなると殻の厚いタマゴ→硬殻卵を生産します。
この硬殻卵は、水が無くなって乾いても大丈夫です。そして風が吹いて移動します。
それから、水質が良好な環境になると硬い殻を破って発生します。
当然、水道水にも含まれますが、浄水器などを通過させると繊維に阻まれます。
普通の水道水を水槽に入れると、水質環境→自然と同じ水質であれば、発生します。
普通、そんな水質条件でないと生物は、繁殖しませんよね。
だって食べるエサもないのに卵は産まないでしょう。

【基本的な事】
エサを与える前には、キチント手を洗って、清潔なタオルで手を拭いてからにしてください。
手や指にはブドウ球菌などが付着していますし、不潔な手には大腸菌やビブリオ菌などのエビには致命的な細菌も付着しています。
水槽のエビが一夜にして全滅なんて事態もありえます。特にビブリオ菌は要注意。
養殖の車エビが全滅なんてのは、たいがいこいつが犯人です。

今回はこの辺で  つづく。

つづきV

突然ですが、エライ目に会いました。
仕事で海外、グレ−トバリアリ−フのサンゴと周辺生物の観察に行っていまして、シュ−ノケリングでサンゴの群生を観察していましたら、突然の激痛に襲われました!
息が止まるほどの痛さです。慌ててボ−トに戻って背中を見ると酷いミミズ腫れ。
クラゲに刺されたのですょ。
現地の人は、ブル−ボトルと呼んでいますが、図鑑を見せると「これ、これ」と指差したのは、カツオノエボシ。猛毒のクラゲじゃね〜か。
こんなもんいないから大丈夫って言ったのは誰だ!
でも、今回は、不幸中の幸いで、オ−ストラリアにはとんでもないクラゲがおりまして
通称『マリンスティンガ−』日本名『立方クラゲ』と言って、目が6個もあって360度見渡せます。海水の濁った沿岸部をペアで漂い、こいつに刺されると15分で心臓停止、人工呼吸で心臓が蘇生しても血液に乗って毒素が再び体内を循環して今度は10分で再び心臓停止すると言われるモンスタ−クラゲなんです。
今回は、刺胞をジャブジャブと水で洗い流し、お酢で中和したから何とかなりましたが、自然界を甘く見てちゃいけませんぜ。カジノもね。
‥ウエットス−ツ着てね。グレバに行ったら。財布のひもはしっかり締めてね。話が脱線気味です。エビの話だろ〜が。海水性のエビも美しい種類がたくさんいます。
他のサンゴやイソギンチャクと共生しています。彼らの食物連鎖システムは、不明な部分が多く、飼育は容易ではありません。
全ての生物は、その生育環境によって進化していきます。DNAの遺伝情報を少しずつ変化させるわけですょ。
 
DNAの変化のきっかけは、幾つかあって、紫外線とか化学物質とかはよく知られています。ウサギの耳にタ−ルを塗り付けているとガン細胞が出現するとか、紫外線の日焼けによって細胞が損傷され皮膚ガンが多発するとかの話は、よく知られていますよね。
皮膚ガンについては、発見された段階でアウト、なんて恐ろしいタイプもあって、黒子(ホクロ)は要注意です。私の知り合いで足の裏に小さな黒子が出来て、ひょんな事でその話が出て、即、病院で切除してもらい、検査したら黒色メラノ−マ→皮膚ガンで命が助かった人がいます。日焼けは、要注意です。
南極のオゾン層の破壊が進行してオ−ストラリア南部地域では皮膚ガンが増加しているらしいです。環境破壊は、本当に切実な問題です。
生物の変異については、環境が重要な意味を持つ事は、理解していただけたと思います。先日、宗近フィッシュファ−ムさんに無理なお願いをして、実験用に貴重なレッドシュリンプを頒けていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
同じ種類かと思う程の美しさです。
仮説を証明する為にこれから種々の実験を開始します。
恐らく、水質、エサが大きく影響しているのでしょうね。F2、F3の段階で中間報告しようと考えています。

【エサについての考察】
宗近フィッシュファ−ムさんのお話では、自家栽培の野菜、小松菜、ホウレン草を与えているとのお話です。
共通するのは、鉄分含有量です。鉄分の多い食物が赤の発色に影響している可能性は、これから実験します。
しかし、単純に鉄分の多いエサを与えても受け入れ、それを発色させるメカニズムが必ず存在するはずです。(ほぼ解明しているけどね)
それと水質に絶対の秘密があると考えています。
多摩川水系、荒川水系、利根川水系、いずれも微妙に含まれるエレメントは、異なる事は、確実です。
河川は、その流れる場所、スピ−ド、水量によって変化します。
河川のPHは、微妙に異なり、季節によっても変動します。地方は有利ですな。
エサの影響は、閉鎖循環水系では大きく影響するはずです。
赤虫がよろし〜い、などと雑誌が書くと、よく考えないで与えるとプラナリア大発生の事態となりトホホな事になりますぜ。
赤虫にも質があります。「どうせ買うなら安い方が得ダ!」とお考えの人は、後で泣くハメになりますょ。
質の高いものは、それなりに手間がかかるのでコストも高くなり販売価格も高くなるのですょ。価格=質は一般的に連動します。イイ加減な商品でも価格だけは高い商品も確かに存在するけど、そんなモン販売していると客が飛びますぜ。
今日は、どうも話が脱線気味ですね。クラゲの毒のせいかしら?かなり長い間中断していたのは、理由があります。行ってきました広東省。
現地フィルド調査です。かなりの新しい発見と現状の変化、その理由が判明しました。
ホワイトバンド激減の理由は、予想にかなり近いものがありました。
詳しくは、現時点では公開できませんけどね。業界的にこれをバラすとマズイ事も予想されますもんで。
そんな事よりもこのコラムを読んだ人からメ−ルをいただくのですが、実際の飼育で直面しているやっかいな問題の解決方法を今回は、書きます。

《プラナリア除去の方法》
とても簡単な方法があります。こいつが発生したらネットで取っている人、大変でしょ。取りあえずス−パ−か近くの肉屋さんに走ります。そしてブタのレバ−か牛のレバ−を100グラム購入します。そして水でよく洗浄します。大きさは親指程度にして糸でくくって水槽に吊します。
プラナリアは、これに群がります。群がったら引き上げて捨てます。何回か繰り返すと絶滅します。こいつは、安物の赤虫を入れると発生しますぜ。

《ヒドラの除去》
水槽のライトが強かったり、直射日光が当たるとガラス面にイソギンチャクのような奴がビッシリと増えます。生物濾過の食物連鎖が正常に作動していると起こります。
稚エビが補食される事はありませんが、気味が悪いとお考えなら、熱帯魚店にいって、ハニ−グラミ−を一匹購入してください。水槽にエサを入れなければヒドラを補食してくれます。口が小さい魚なのでよほど小さな稚エビでない限り補食されません。

《ゲジ→通称です。正式名不明》
P社のT氏の話では、エビの一種だと言ってましたが、水棲昆虫の一種かもしれません。こいつは確かに目障りです。顕微鏡でこのゲジの幼体を観察すると先端にノコギリ状のキバのようなものがあって、ちょうどクワガタ虫のようです。
ある一定以上に繁殖すると稚エビの生育量が激減するのは水槽で実験済みです。
こいつを絶滅させるのは不可能です。しかし、一定以下の個体数にするのは簡単です。
取りあえず熱帯魚店に行って流木、10センチ前後のものを購入します。
バケツに入れて熱湯殺菌します。温度が下がったら水槽に入れます。
これにゲジは付着しますから、2〜3日に一度引き上げて、バケツに水槽の水を移して振ります。仮に稚エビが付着していても救出できます。
新聞紙の上に流木を置いて3〜4分放置すると水分を求めて這い出してきます。
流木は再度、熱湯で消毒して水槽に戻します。
恐ろしい数のゲジが確認できるハズです。
これを繰り返すとゲジの数は激減します。
エビの数が少なければ、エビを他の水槽に移動させ、エンゼルフィッシュを一匹入れます。エサとして全滅するまで補食します。

今回は、この辺で。